実績値―選手の存在価値
「貢献値の弱点」の項でも触れましたが、「貢献値」の最も深刻な問題点として比較されている点は、チームの勝利可能性が、標準選手を基準に算定されていることから、標準的な選手においてゼロに近いものになってしまう点です。
したがって、標準的な成績、例えば、打率2割7分で140試合フル出場した選手が、全く試合に出場しなかった選手と評価が同じになってしまう問題です。「チークの勝利に貢献する」という観点からは、「2割7分の打率程度で1年間過ごしたとしても、チームの勝利に対して貢献していない」と断ずるのはあまりにも酷です。
この点について、前の「貢献率」の項で、標準的な控え選手や、1軍と2軍を頻繁に往復している選手の貢献率はマイナス0.5%から1.0%程度であると述べました。このことを利用して、
「あるレギュラー選手の存在価値」
⇒「当該レギュラー選手が存在しなかった場合には、代わりに控え選手または1軍半の選手が出場せざるを得ない」
と考えます。
この場合、このレギュラー選手自身が貢献率0%程度の選手だったとしても、このレギュラー選手が存在しなかった場合に比べて、「局面値の累計」×0.5%チームに貢献したことになります。つまり、「局面値の累計」×1/100だけ、貯金を増やしたと考えることが出来るのです。
このような考え方を前提にして、
「貢献値+局面値×0.5%」を「実績値」と呼ぶこととします。
この実績値は、同じ貢献値の選手においても、局面値の累計が大きい選手の方が大きくなります。例えば、完投の多いエースや、チャンスの多いクリーンアップは、貢献値に比べて実績値が大きくなります。
この実績値は、選手の評価として、特に選手層の薄いチームにおいては非常に良く妥当します。また、少々厳しい考え方かもしれませんが、貢献率0.5%を下回る選手で、いくら試合に出たとしても、このレベルの選手は代替可能と考えれば、当該選手を出場の少なかった選手と同レベルに評価しても問題ないと考えられます。
さらに、実績値は、細かく考えれば、代替性の低いポジションにおいては、局面値×N%のNを大きく設定し、代替性の高いポジションについてはNを小さく設定することも考えられます。例えば、代替性の低いポジションの代表が捕手であり、代替性の高いポジションの代表がDHや1塁手、3塁手、左翼手などです。
しかし、ここでは便宜的に、投手も野手も、どのポジションにおいても、Nを0.5%と置いて考えることとします。0.5%という数字は、必ずしも固定されたものでないことに留意してください。捕手のようなポジションではもう少し大きな数字になるかもしれません。
この実績値の概念は、選手全体の集合の中で欄ランク付けを行う場合に、妥当するものです。つまり最も説得力を発揮するのは、年俸交渉の場合であるといえます。