貢献値の弱点
貢献値は手前味噌ながら、非常に精度の高い指標だと思っています。また、選手の評価として精度が高いだけでなく、前項で指摘したとおり、
@ 局面や戦術の効果の理解に役に立つ、
A 数字の意味がはっきりしており、また、客観的な指標である、
といった美点もあります。
しかし、貢献値にはいくつかの問題点があります。これまでも、多くの人から御批判を頂きましたが、問題点を整理すると、大きく3つに分けられます。
@ 貢献値は、標準的な選手においてプラスマイナスゼロになってしまうため、標準的な選手の評価に使えない。例えば、打率2割7分程度でフル出場した選手が、全く出場していない選手と同じような評価になってしまう。
A 選手の実績の評価であって、能力の評価ではない。標準以上の、一定の割合でプラスになることの出来る選手であれば、チャンスに多く回ってきたほうが良い数字になってしまうが、これは選手の能力ではなく、運や与えられた出場機会により決まるものである。
B 計算が面倒である。誰でも使えるものにして欲しい。
以上のご指摘です。
@とAは、貢献値を「選手の評価として扱う場合の」問題点です。貢献値は「各局面のチームの勝利可能性を変動させた幅」ですから、これを選手の評価基準に「そのまま」使うことから来る弊害といえます。
Bは、これは技術的な問題です。この問題を解決するために、当HPを作りました。「勝率一覧表」を利用して、是非皆さん、ご自分で貢献値を計算することができます。「勝率案計算機」も便利なものです。また、現在やっていない作業を付け加えることは確かに面倒ですが、スコアブックをつける作業において、ついでに貢献値を計算すること自体はそれほど大変な作業ではありませんから、もし、この指標が一般的に受け入れられれば、スコアラーや、スポーツ記事の担当者の方が計算して下さると信じています(^^)。
さて、@とAについては解決しなければなりません。
貢献値はMVPを決定する際には優れている指標だと考えていますが、標準的な選手も含めた全選手の評価のリストを作るためには@の問題点は深刻です。1打席の代打出場選手と、フル出場選手が横並びに評価されるのでは用を成しません。
また、貢献値は、各選手が「今年はこれぐらい働いた」という実績を評価する上では有効ですが、「来年はどの程度働くのであろう?」と考える場合には、来年も今年と同じように、当該選手にチャンスが回ってくるかは分からりません。したがって、Aの問題点を解決するために、選手の偶然の事情に左右されない能力―の指標が必要になります。
まず、@の問題点に応えるための指標が後掲する「実績値」の考え方です。これは、選手全体のランク付けを行う場合に最適だと思います。
次にAの問題点を解決するための指標が「貢献率」です。これは、選手の能力を評価する上で有効な指標です。
なお、このような「実績値」や「貢献率」を計算する前提として、「局面値」という概念が必要です。
以上のような「実績値」、「貢献率」、「局面値」といった概念について、次の項で検討していきたいと思います。